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シロアリと中古住宅。シロアリ被害に合わないためのチェックポイント

シロアリと中古住宅_被害のあと①

 

住宅に関わる仕事をしているとシロアリ被害を目にする機会が頻繁にあります。一見キレイに見える住宅でも「点検したら柱や基礎がシロアリに食い荒らされてボロボロだった」ということが珍しくないのです。

 

シロアリ被害は皆さんが考える以上に深刻です。

 

家の内部がシロアリに侵されると、耐震性能は著しく低下します。柱や土台がスカスカになる訳ですから当然です。

 

地震が頻発している昨今、シロアリに侵される=住宅崩壊のカウントダウンがはじまっているといっても過言ではありません。

 

しかし、、、

 

「うちは築年数が浅いから大丈夫」
「昔シロアリ予防工事をしたから問題ない」
「建築時にシロアリを防ぐ木材を使ったので被害には遭わない」

 

このような思い込みで、シロアリに対する認識が甘くなっている人が大勢います。シロアリ被害に合わないためにはまずその危険性を知り、意識を高めることが大切です。

 

今回は、シロアリと中古住宅の関係について、シロアリ被害に合わないためにできることについてお話しします。

 

 

シロアリ予防工事をしていない家の50%以上がシロアリ被害に遭っている

 

2013年に行われた国土交通省補助事業「シロアリ被害実態調査報告書」により以下のことが分かっています。

 

これを見れば、シロアリ被害は他人事ではなく、対策をしなければ高確率で遭遇する“自分事”であるとご理解頂けるのではないでしょうか?

 

  • 大分県のシロアリ被害発生率は40%近い
  • シロアリの予防工事・駆除を過去一度も行っていない建物のシロアリ被害発生率は地域を問わず50%以上
  • 築5年を過ぎた頃からシロアリ被害が発生する
    これはシロアリ予防の薬剤の効果が約5年だからです。

     

  • 一度シロアリの予防工事・駆除を行っても、その後放置すると、年数を経るごとに被害に遭う確率が高くなる
    薬効の保証期間終了後10年経つと20%近く、20年経つと30%近くが被害に遭います。

 

 

シロアリの生態

 

シロアリと中古住宅_②

 

ではまずはじめに、シロアリの生態について。シロアリとはどんな生き物なのか?を見ていきましょう。

 

シロアリの種類

 

日本で住宅に被害をもたらすシロアリは主に3種類です。

 

  1. イエシロアリ
    イエシロアリは、非常に甚大な被害をもたらすことで知られています。食欲旺盛かつ悪食で、木造だけでなく、コンクリート造の建造物が被害に遭うことも少なくありません。一つの巣に100万匹以上の個体がいる場合もあり、加害スピードも群を抜いています。

     

    好適温度は30℃〜32℃とあたたかい場所を好み、九州にも多く生息しています。

  2. ヤマトシロアリ
    日本で一番生息数が多いシロアリです。比較的暑さに弱く、主に本州に生息しています。一つの巣の個体数は2、3万程度で、好適温度は12℃〜30℃です。

     

  3. アメリカカンザイシロアリ
    1970年代頃に日本に入ってきた外来種です。ほとんどのシロアリが土壌製なのに対し、アメリカカンザイシロアリは乾燥した木材に巣を作ります。ときに家の建て直しが必要なほど大きな被害をもたらす上、日本では未だ駆除方法が確立されていません。予防が何より大切です。

     

    生息地域が限られており、現在大分県での被害報告はありません。しかし、被害地域が年々広がっているため、注意が必要です。

 

シロアリの活動時期

 

シロアリは1年中活動します。つまり、被害は1年中いつでも発生する恐れがあるのです。

 

また、シロアリは年に1度、羽アリになって飛び立ちます。急に羽のあるアリが大量に発生したら近くに巣があると思ってください。すぐに駆除を依頼しましょう。

 

羽アリが発生する時期

 

イエシロアリ:6・7・8月頃
ヤマトシロア:4・5・6月頃
アメリカカンザイシロアリ:6〜9月頃

 

シロアリが好む環境

 

  • あたたかい場所
    最も深刻な被害をもたらすイエシロアリの好適温度は30℃〜32℃です。

     

  • ジメジメと湿った場所
    水分が多く、湿気が多い場所を好みます。唯一、アメリカカンザイシロアリは乾燥した場所を好みますが、生息地域が限定的なので、基本的には「ジメジメと湿った場所」と考えて大丈夫です。大分県ではまだアメリカカンザイシロアリの被害は報告されていません。

     

  • 空気の滞った場所
    空気の動きに弱いため、風がなく、空気の滞った場所を好みます。

     

  • 日陰
    太陽光に弱いので、移動する時は日陰を利用します。

 

 

シロアリ被害の実態

 

ここでは、カワノが実際に遭遇した事例を交えながら、シロアリがどのような被害をもたらすのかをご紹介します。

 

事例① 見た目では分からないシロアリ被害

 

お客様が相続した家を“預かり仲介※1”してリフォームした時の事例です。

※1家の売却をご希望のお客様から一旦家をお預かりし、リフォームなどを施した後、購入希望の方へ仲介する方法

 

床下からシロアリ被害は見えなかったものの、リフォーム過程で露出させた普段隠れている内部(壁の内側等)に甚大な被害を発見。木材に指が入るほどイエシロアリに食べ尽くされていました。

 

シロアリと中古住宅_壁の内側

 

これは砂の上に家を建てているようなもの。このまま被害が進むと倒壊の恐れもあります。

 

シロアリと中古住宅_土台の内側

 

地面から家の内部にのびた蟻道。一見盛土のように見えるが触ると硬い。

 

シロアリの侵入を許した主な要因

 

  1. 湿気・あたたかい温度・豊富なエサ(木材)とシロアリが好む条件が全て揃っていた。
  2. 基礎の近くに置かれたプランターが太陽光を遮り、シロアリが好む日陰を形成していた。
  3. その日陰になった基礎部分に蟻道(シロアリが通るためのトンネル)が作られた。

 

シロアリと中古住宅_プランター

 

事例② 押し入れから大量の羽アリが発生

 

部分的なリフォームを請け負った時の事例です。

 

シロアリと中古住宅_事例2

 

外壁の隙間から羽アリが侵入し、押し入れに保管していた「写真を貼った木製パネル」を食べ尽くしていました。

 

しかし、発見が早かったため、家そのものに大きな被害はありませんでした。

 

シロアリの侵入を許した主な要因

 

  1. 外壁に隙間があった
  2. シロアリを誘き寄せるエサ(木材)が豊富にあった
  3. 風通しの悪い狭い空間だった

 

このようにシロアリは甚大な被害をもたらします。

 

以下に当てはまる場合は、できるだけ早めに「シロアリ点検」を受けましょう。

 

 

シロアリに侵されているサイン(点検ポイント)

 

①蟻道がある

 

シロアリと中古住宅_蟻道②

 

太陽光が苦手なシロアリは、土や排泄物、唾液を材料にして、トンネル状の通り道「蟻道」を作ります。外壁や基礎、配管の隙間、断熱材、柱等にこの蟻道を見つけた場合、高確率でシロアリがいると思って下さい。

 

蟻道は一見、ひび割れや土汚れに見える場合もありますので、怪しいひび割れや土汚れを見かけたら「蟻道かも」と疑うことが大切です。

 

クロアリ(木材を食べない、いわゆる普通の蟻)も蟻道を作ります。シロアリとクロアリの蟻道の見分け方は下記でご紹介しますが、素人判断は危険です。怪しいと思ったら速やかに「シロアリ点検」を受けましょう。

 

クロアリの蟻道

 

  • 主な材料は木屑
  • 途切れ途切れになっている場合が多い
  • 非常に脆く、指で触るとポロポロ崩れる

 

シロアリの蟻道

 

  • 主な材料は土や排泄物、唾液
  • 土から到達点(家の中)まで途切れることがない
  • 非常に硬く、指で触ってもなかなか崩れない

 

②蟻土がある

 

シロアリと中古住宅_蟻道

 

シロアリが木材を食べる際、その場所が風や光にさらされないように覆う蓋を「蟻土」と呼びます。材料は蟻道と同じで、円状に広がっているケースが多いです。

 

蟻土を見つけたらほぼ間違いなくシロアリが入り込んでいると思って下さい。

 

③雨漏り跡がある

 

湿気の多いジメジメした環境を作る雨漏りは高確率でシロアリとセットになっています。壁や床、柱に雨漏りの跡を見つけたら注意が必要です。

 

④木材に亀裂がある

 

シロアリの侵食がある程度進んだ際に見られます。

 

⑤床板や畳、壁を触るとブカブカと沈む感じがする

 

シロアリの侵食がある程度進んだ際に見られます。手で押したり、歩いたりした時にブカブカと沈む感じがしたら危険信号。すぐに「シロアリ点検」を受けましょう。

 

⑥柱を叩くと空洞音がする

 

シロアリの侵食がある程度進んだ際に見られます。

 

⑦家の中や周辺に羽アリの死骸が落ちている

 

羽アリが発生する時期(イエシロアリ:6・7月頃 、ヤマトシロアリ:4・5月頃、アメリカカンザイシロアリ:6〜9月頃)は、家の周りに羽アリの死骸がないか探してみましょう。

 

どんな家にも発生する可能性があるシロアリですが、先述した通り

 

  • あたたかい場所
  • 水分が多く、湿気のある場所
  • 空気の滞った場所(風通りが悪い狭い空間)
  • 日陰 等

 

“より発生しやすい環境”があります。シロアリが好む環境を理解し、なるべくその環境を作らないようにしましょう。

 

 

シロアリと中古住宅

 

現在、お住まいの住宅がシロアリに侵されている可能性があるということは、当然、売りに出されている中古住宅もシロアリに侵されている可能性もあるということです。

 

通常の不動産業者は「物件を受け渡すこと」が仕事ですから、シロアリ点検(=利益に結びつかない+α仕事)をせず、目で見える範囲の“表面的なチェックのみ”を行い、販売することも少なくありません。

 

そして、販売後にシロアリや雨漏りなど重大な瑕疵が発覚しても補償対象外にしているところがほとんどです。

 

▶︎詳しくは以下コラムの【地震に強い家を手に入れるための重要ポイント:家の修繕やリフォーム、中古住宅探しをする際の業者の選び方】部分をご覧ください。

 

カワノの不動産

 

中古住宅の内覧に行った際は、先述した「シロアリに侵されているサイン」をチェックしてみましょう。当てはまるものが多いようなら、シロアリに侵されている可能性があります。

 

カワノが取り扱い物件に対して必ずシロアリ点検を行う理由

 

カワノのように「物件の提案〜点検・調査〜補助金提案〜改修工事〜アフターフォロー」までワンストップで行う業者は取り扱う住宅に関して必ずシロアリ点検を行います

 

シロアリがいる・いないで家の資産価値やリフォーム計画が大きく変動するため、点検しないことには仲介も、補助金提案も、改修工事もできないからです。

 

そのため、カワノは中古物件を仲介する際は必ず今村化学工業白蟻研究所に依頼し、シロアリ点検、状況に応じて予防・駆除を行います。

 

シロアリ被害が発見された中古住宅は絶対に買ってはいけいない、、、訳ではない

 

ここまで読んで「シロアリ=重大な瑕疵=シロアリに侵された中古住宅は購入してはいけない」とお考えの方も多いと思います。

 

しかし、気になる中古住宅にシロアリが見つかったからといって、必ずしもその中古住宅を諦める必要はありません。立地や金額など複合的に考えて、「駆除・リフォーム後に住む」という方法もあります。

 

カワノはお客様にご提案する際、シロアリやその他の瑕疵を踏まえた上で複数の選択肢をご提示します。

 

選択肢①購入をやめる

 

気に入った中古住宅を購入しても、「いざ住もうと思ったらシロアリを発見。駆除、リフォームに数百万円かかった」というようなケースも少なくありません。

 

立地などの条件、購入金額、購入後必要になる金額(リフォーム費用や修繕費用)を総合的に考えた上で、「見合わない」と判断した場合にお勧めする選択肢です。

 

選択肢②購入後、シロアリ駆除・予防工事・部分リフォームを行う

 

シロアリの被害があっても、購入後にシロアリ駆除や予防工事、部分リフォームを行うという方法があります。

 

立地などの条件、購入金額、購入後必要になる金額(リフォーム費用や修繕費用)を総合的に考えた上で、「それでもお客様のご要望に添う」と判断した場合にお勧めする選択肢です。

 

選択肢③購入後、シロアリ駆除・予防工事・全面リフォームを行う

 

シロアリの被害が大きい場合も、骨組みだけを残して、全面リフォームするという方法があります。

 

リフォーム費用は高額になりますが、新築するより安く、「立地や周辺環境などに強い思い入れがある」というお客様にお勧めする選択肢です。

 

 

まとめ

 

今回の記事で、シロアリ被害の恐ろしさがお分かり頂けたでしょうか?

 

シロアリ被害に遭うことは決して珍しいことではありません。シロアリは、安全な生活と家の資産価値を脅かす身近な危険です。

 

シロアリに侵されているサインをご紹介しましたが、ほとんどの場合“自分では気づかない”という落とし穴もあります。

 

ベストなシロアリ対策は、「シロアリ予防工事を行うこと」。これに尽きます。

 

シロアリが好む環境(あたたかい、湿気がある、空気の流れが悪い、日陰)を作らないように意識すると共に、できるだけ5年に一度のシロアリ点検・予防工事を行いましょう。築5年以上の中古住宅の購入を検討する際は「シロアリがいるかも?」と意識することが大切です。

 

カワノはシロアリに関するご相談もお受けしていますので、ご不安を感じたらお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

「シロアリ予防工事」と「シロアリ点検」。シロアリ業者の選び方

 

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