「シロアリ予防工事」と「シロアリ点検」。シロアリ業者の選び方
前回お話しした【シロアリと中古住宅。シロアリ被害に合わないためのチェックポイント】でシロアリ被害の怖さは十分伝わったと思います。
では、それらの被害から逃れるためには何をしたら良いのでしょうか?
答えは簡単。シロアリ被害を受けないように、あらかじめ「予防」すれば良いのです。予防するためには、シロアリ駆除業者にシロアリ予防工事を依頼する必要があります。
今回は「シロアリ予防工事」と、ほとんどの業者が無料で実施している「シロアリ点検」についてご紹介します。
※注意!シロアリ対策工事の呼び名
シロアリ対策には、「予防」「消毒」「防除」「駆除」など様々な表現が使われています。例えば、同じ「防除」でも業者によって、施工内容が異なる場合があります。依頼する際は必ず“施工内容”を確認しましょう。
- シロアリ予防工事:シロアリ予防
- シロアリ消毒:シロアリ予防と同意で使われます。
- シロアリ防除工事:予防+駆除、もしくは予防のみを指すこともあります。
- シロアリ駆除工事:予防+駆除、もしくは駆除のみを指すこともあります。
シロアリ予防とシロアリ駆除の違い
「シロアリ予防」と「シロアリ駆除」は基本的に同じ薬剤や施工方法を用います。
ただし、駆除の方が作業工程(=作業量)が圧倒的に多いため、高額になります。
シロアリ予防とは
シロアリが発生しやすい場所に薬剤や毒エサを用い、予防工事を施します。
シロアリ駆除とは
シロアリ被害を受けている箇所を特定し、薬剤や毒エサを用い、駆除を行います。
さらに、今後被害が予想される箇所に予防工事を施します。被害状況によっては家の修繕も必要です。
一度シロアリが入り込んでしまうと、駆除、予防、家の修繕と、膨大な手間と費用がかかります。だからこそ、後述する「5年に1度の予防工事」を行い、シロアリを家に入れないようにすること(=予防)が大切なのです。
シロアリ予防工事の種類
「シロアリ予防」「シロアリ駆除」共通の施工方法です。
バリア工法
シロアリ予防・駆除効果のある薬剤を床下や基礎に散布する方法です。
壁や玄関タイルの目地に穴を空けて薬剤を注入することもあります。名前の通り、シロアリの侵入経路にバリアを張って防ぐイメージです。即効性があり、非常に高い効果を発揮します。日本ではこの方法が主流です。
薬剤の効果は約5年です。
ベイト工法
家の周辺にベイト剤という毒エサを設置する方法です。
シロアリはエサを共有する習性があり、毒エサを見つけたシロアリがそのエサを巣に持ち帰ることで、巣ごと根絶することができます。薬剤散布によるアレルギーが心配な方、小さなお子様やペットに配慮したい方に選ばれています。
ただし、ベイト工法は毒エサが巣全体に行き渡るのを待つ必要があるため、効果が出るまでに少し時間がかかります。バリア工法に比べると施工費用も高額です。さらに、毒エサを半年〜1年ごとにチェックしなければなりません。
現在は健康面・安全面に配慮した薬剤が使用されているので、「どうしても気になる」という方以外は、バリア工法で問題ないと思います。
「シロアリ予防工事」は5年ごとに継続しないと意味がない?
ここでは一般的な予防工事、バリア工法についてご説明します。
シロアリ予防工事(バリア工法)で使う薬剤の効果は約5年です。
以前は半永久的に効果が続く薬剤を使用していましたが、その薬剤が人体に影響を及ぼすことが分かり、現在の健康・安全面に配慮した“効果5年”の薬剤に切り替わりました。そのため、シロアリ予防工事済の新築の家を購入した場合も、5年後から5年スパンでシロアリの予防工事を行う必要があります。
シロアリ予防工事の費用は一般的な木造平家住宅で20万円前後〜です。正直、安くはありませんから、「5年に1回もするなんて」と躊躇する方も大勢います。しかし、長い目で見ればシロアリ予防工事は決して高額ではありません。
以下のデメリットを見ればお分かり頂けると思いますが、安全な生活と住まい(=あなたの大切な資産)の価値を守るために必要不可欠な工事なのです。
シロアリ予防工事をしないことで起こるデメリット
- シロアリ被害に遭う確率が飛躍的に上がる
地域を問わず50%以上の家が被害に遭うという調査結果が出ています。
- シロアリに侵されると予防工事より高額な費用がかかる
シロアリ駆除に用いる薬剤や施工方法は予防工事と同じですが、駆除の場合、「被害箇所の特定」「被害箇所の駆除」など予防工事より作業工程(=作業量)が圧倒的に多くなります。当然その分費用は高額です。被害状況によっては、その後家の修繕が必要になる場合もあります。
- シロアリに侵された家は耐震性能が大幅に低下する
被害箇所を修繕する前に地震に見舞われると、取り返しのつかない被害を受ける可能性があります。
- 将来家を売る際、大幅に減額される
家の資産価値が大幅に下がります。家を貸す場合も同じです。
- 補助金を利用できない
シロアリは家にとって非常に大きな瑕疵となります。シロアリに侵されている家は駆除しない限り、リフォームや耐震改修に適応される補助金を受けることができません。
「シロアリ点検」は無料で実施している業者が多いので、気軽に依頼してみましょう
シロアリ点検は「無料」で実施している業者が多く、時間も60分程度で終了します。
「無料なんて怪しい」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、シロアリが見つかれば5年に1度の予防工事(=利益)につながりますので、業者は“1軒でも多く調査をしたい”のです。
以下に当てはまる方はできるだけ早くシロアリ点検を受け、シロアリが見つかった場合は速やかに駆除を依頼しましょう。
「シロアリ点検」から「シロアリ予防工事」「防除工事(予防+駆除)」までの流れ
ここではカワノが提携している創業109年の今村化学工業白蟻研究所さんを例に、シロアリ点検、シロアリ予防工事、防除工事(予防+駆除)の流れをご紹介します。
●無料シロアリ点検
所要時間:60分
デジタルカメラで撮影した床下の様子をテレビ画面で見ることができます。さらに、点検では「排水管の破損による水漏れ」や「 地震などによる割れ 」「 床下の湿気による木材の腐れ」が分かるため、家の状態が気になる方にもお勧めです。
点検は、大分県・北九州市全域無料です。
●シロアリ予防・防除工事
所要時間:家の広さ、被害状況により異なります
- ご相談
シロアリについての不安をご相談ください。「無料シロアリ点検をしたい」というご希望のみでもOKです。
- 現地で状況確認・点検報告・お見積もり
無料シロアリ点検を行い、「シロアリが見つかった場合」や「まだシロアリはいないけれど今後発生する可能性が高いと判断された場合」「5年以上シロアリ予防工事をしていない場合」は予防工事、防除工事をお勧めします。
- ご検討
工事をするか、しないかを当日決める必要はありません。点検報告、見積もり金額を踏まえ、ゆっくりご検討ください。
- 作業日決定
工事をご希望する場合は、作業日を決めます。
- 作業開始
予防・防除工事を行うのは、高い技術を持った専門の有資格者(公益社団法人日本しろあり対策協会認定の資格「しろあり防除施工士」)です。
お客様の住まいの周辺環境、被害状況などを参考に最新の防除法、かつ有効な工法を取り入れています。使用する薬剤も、団法人日本しろあり対策協会認定・登録のシックハウス対策も備えた信頼性の高いものなのでご安心ください。
施工は5年間の保証付です。
※作業条件により保証対象外の物件がございます。
施工後5年以内に新たなシロアリ被害が発生した場合には、責任を持って被害箇所の再駆除工事を行います。また施工後、快適な床下環境を整えるシステムなど、様々なサービスも提供しています。
カワノもシロアリに関するご相談をお受けしています。提携している今村化学工業白蟻研究所へ橋渡しをすることもできますので、ご不安を感じたらお気軽にお問い合わせ下さい。
シロアリ駆除業者の選び方
シロアリ予防工事は5年スパンで行う必要があるため、お客様はほぼリピーターとなります。そのため、訪問営業をする業者は滅多にいません。突然家に訪ねてくるような業者は避けた方が良いでしょう。
また、先ほどお話ししたようにシロアリ予防工事に使用する薬剤の効果は約5年です。例外的に安全かつ5年以上効果の続く薬剤もありますが、一般的なシロアリ予防・駆除業者が使うことはまずありません。理由もなく5年以上の効果を売りにする業者がいたら怪しいと思って下さい。
例外はありますが、歴史と実績のある、いわゆる“名前が知られている業者”が信頼できる傾向にあります。
信頼できるシロアリ駆除業者の特徴
一概には言えませんが、以下が信頼の目安になります。
- 歴史と実績がある
ホームページで歴史や過去の実績を確認しましょう。
- 料金が明瞭で分かりやすい
どの施工にも言えることですが、「見積書のわかりやすさ」は信頼できる業者かどうかの大きな判断材料になります。
- 知識が豊富
最低限、「こちらからの質問に答えてくれる」「薬剤や作業工程についてうまく説明できる」業者を選びましょう。
- 保証やアフターサービスがしっかりしている
薬剤の効果が切れるまで保証してくれる「5年保証」が目安です。この他にも、業者によって様々なアフターフォローがあるので事前に確認しましょう。
避けた方が良いシロアリ駆除業者の特徴
以下に当てはまるような業者は施工(予防・防除工事)も雑な傾向にあります。不安な場合は、他の業者と“比べてみること”も大切です。
- 突然訪問してくる
信頼できる業者で訪問営業を行っているところはほぼありません。
- 過剰に不安を煽る
シロアリ点検後、「今すぐ駆除しないと危ない!」と過剰に不安を煽り、すぐに契約させようとする業者には注意が必要です。数日検討しても状況が大きく変わる訳ではありません。
「怪しいな」と感じたらその場で契約せず、相見積もりを取る(他の業者に見積もりを依頼し、比較する)、信頼できる人に相談する等し、冷静に判断しましょう。
- シロアリ予防工事に関して5年以上の効果を売りにしている
シロアリの予防工事で使用する薬剤の効果は5年です。
- 料金が不明瞭
料金が分かりにくい場合はしっかり確認しましょう。後から追加料金を請求される場合があります。
- 知識不足
「こちらからの質問に答えられない」「薬剤や作業工程についてうまく説明できない」業者は論外です。
- 不要なサービスを過剰に進めてくる
中にはシロアリ予防工事や駆除に関係ない工事を勧めてくる業者もいます。
- 保証やアフターサービスがない
薬剤の効果が切れるまで保証してくれる「5年保証」が目安。この保証すらない業者は避けましょう。
シロアリ予防工事に関するよくある質問
シロアリには間違った知識、先入観を持っている方が少なからずいらっしゃるかと思います。ここではよくある質問にお答えします。
Q. 加圧注入材を使用しているのでシロアリ予防工事は不要と聞いたのですが
A. 加圧注入とは木材の耐久性を高める加工です。圧力を加えることで特殊な薬剤を木材の深部まで浸透させ、「木の腐れ」や「シロアリ被害」に対する予防効果を長期間持続させます。
最近の住宅にはこの加圧注入材を使用していることが多く「だからシロアリ被害に遭うはずがない」と思っている方がいます。しかし、結論からいうと加圧注入材を使用していてもシロアリ被害に遭う可能性はあります。
加圧注入に使われる薬剤は、シロアリが食べることによって効果を発揮します。食べない限り、特に忌避効果はありません。そのため、加圧注入材の被害は免れても、加圧注入をしていない木材(フローリングなど)に被害が及ぶ危険があります。
加圧注入自体はとても有効な加工ではありますが、イコール絶対シロアリの被害に遭わないということではありません。
Q. 自宅は鉄筋コンクリート造なのですが、シロアリは気にしなくて良いのでしょうか
A. シロアリといえば「木を食べる」というイメージを持つ方が多いと思います。もちろん、木造の方が被害に遭う確率は高いのですが、シロアリはかなりの悪食。コンクリートを食べてしまうことも少なくありません。
また、コンクリート造の家でもほとんどの場合、木材“も”使われています。「コンクリートだから安心」と思い込むのは危険です。
Q. コンクリートのベタ基礎の場合、シロアリは入ってこないと聞いたのですが
A. 家を建てる際の工法の一つ・ベタ基礎とは床下全体にまんべんなく鉄筋コンクリートを流し込んで作る基礎のことをいいます。床下にコンクリートの箱があるイメージです。
この工法は耐震性に優れ、シロアリも侵入しにくいといわれています。しかし、「経年劣化によるひび」「金具とコンクリートの隙間」等からシロアリが侵入する可能性はあります。絶対に被害に遭わないという訳ではありません。
Q. 一度シロアリ予防工事(または駆除)をしているので安心しています
A. シロアリ予防の薬剤の効果は5年経つと切れます。定期的に行わないと意味がありません。実際、予防工事後、5年後、10年後、20年後と時間が経つごとに被害報告が増えています。
Q.新築の家を購入しました。メーカーの人からシロアリ予防工事済みなので、自分でする必要はないと言われました。大丈夫でしょうか?
A. 「これから5年間は予防工事の必要がない」という意味です。
シロアリ予防の薬剤の効果は5年経つと切れます。5年スパンで定期的に行わないと意味がありません。実際、予防工事後、5年後、10年後、20年後と時間が経つごとに被害報告が増えています。
最後に
カワノのように「物件の提案〜点検・調査〜補助金提案〜改修工事〜アフターフォロー」までワンストップで行う業者にとって、シロアリ点検・予防工事・防除工事(予防+駆除)は必須です。
家の資産価値を大きく左右するシロアリの有無を調べもせずに、お客様に物件を仲介したり、リフォームしたりすることはできないからです。
また、シロアリに侵された家はリフォームや耐震改修の際に使える補助金も利用できません。補助金を利用するには「シロアリと雨漏りの被害がないこと」が大前提なのです。
そのため、カワノは100年の信頼と実績がある今村化学工業白蟻研究所と契約を結んでいます。
カワノもシロアリに関するご相談をお受けしています。
提携している今村化学工業白蟻研究所へ橋渡しをすることもできますので、ご不安を感じたらお気軽にお問い合わせ下さい。