シロアリ被害に遭いやすい家。11の傾向
【シロアリと中古住宅。シロアリ被害に合わないためのチェックポイント】でご紹介したように、住宅におけるシロアリの被害は甚大です。
シロアリは、家を内部から食い荒らし、家の資産価値を大幅に低下させてしまいます。
そして何より恐ろしいのが、シロアリ予防工事をしていない家の50%以上がシロアリ被害に遭っているという事実です。
「シロアリ予防工事」と「シロアリ点検」。シロアリ業者の選び方
シロアリ被害は決して他人事ではありません。対策をしなければ高確率で遭遇する“自分事”なのです。
シロアリ被害に対して一番有効な対策は【シロアリ予防工事】を行うことですが、その前に自分でもできることがあります。
このコラムで、シロアリ被害に遭いやすい家の傾向を学んでいただき、できるだけシロアリが侵入しにくい家にしていきましょう。
シロアリが好む環境
- あたたかい場所
最も深刻な被害をもたらすイエシロアリの好適温度は30℃〜32℃です。
- ジメジメと湿った場所
水分が多く、湿気が高い場所を好みます。
※唯一、アメリカカンザイシロアリは乾燥した場所を好みますが、生息地域が限定的なので、基本的には「ジメジメと湿った場所」と考えて大丈夫です。大分県ではまだアメリカカンザイシロアリの被害は報告されていません。
- 空気の滞った場所
空気の動きに弱いため、風がなく、空気の滞った場所を好みます。
- 日陰
太陽光に弱いので、移動する時は日陰を利用します。
シロアリ被害に遭いやすい家の傾向11
①床下が低い
床下が狭いと風通しが悪くなり、シロアリが好む空気の滞った空間が形成されてしまいます。特に温度の高い浴室やキッチンの床下は発生率が高くなります。
②床下の換気口が少ない
床下には、建築基準法により5mごとに300平方cm以上の換気口を設けることが義務付けられています。しかし、古い家は換気口の数が基準に満たない場合があります。
換気口の数が少ないと床下の風通りが悪くなり、①と同じようにシロアリが好む空気の滞った空間が形成されてしまいます。
空気の流れが阻害されてしまうので、換気口の前に物を置くのもNGです。
③雨漏りにより、「壁」「床」「柱」等が湿っている
雨漏りは家の大敵です。家を傷めるだけでなく、湿気の多いジメジメした環境を好むシロアリを呼び寄せてしまいます。
また、水分は木材腐朽の原因となります。腐朽した木材はシロアリを誘き寄せる成分を作ることが分かっています。壁や床、柱に雨漏りの跡を見つけたら注意が必要です。
※雨漏りは家にとって非常に大きな瑕疵となります。シロアリがいない場合も、雨漏りを放置したままでは、リフォームや耐震改修に適応される補助金も受けることができません。
④押し入れがカビ臭い
押し入れの中も時々チェックしましょう。カビ臭く、ジメジメしていたら、それは湿気が多いということ。「シロアリがいるよ」というサインかもしれません。普段からこまめな空気の入れ替えを心がけましょう。
⑤家の外壁や基礎にひび割れがある
老朽化や地震被害で、家の外壁、基礎等にひび割れができていませんか?ひび割れはシロアリの通り道になる可能性があります。
ひび割れから雨水が染み込み、室内に水が浸食している恐れもあります。通常の雨漏りと同じく、この“隠れ雨漏り”もシロアリが好む環境を作る一因です。
外壁や基礎のひび割れ・土汚れ、もしかしたら蟻道かも!?
一見ひび割れや土汚れに見えても、実はシロアリが通る道・蟻道の可能性があります。蟻道が見つかった場合、ほぼ間違いなくシロアリがいると思ってください。
怪しいひび割れや土怪しい汚れを見かけたら「蟻道かも?」と疑うことも大切です。
⑥家の周辺に物をたくさん置いている
家の周りに物を置くと、日陰ができます。日陰は日光を嫌うシロアリの侵入経路を増やすことにつながります。
特に、基礎の近く・換気口の側はシロアリの侵入経路になりやすいので、できるだけ何も置かないようにしましょう。
⑦庭に花壇や鉢植え、庭木が多い
花壇や鉢植え、庭木はシロアリが好む日陰を作ります。木材(枕木等)を使った花壇やプランターにも注意が必要です。おしゃれですが、シロアリにとって格好の通り道になってしまいます。
もちろん、「ガーデニングを一切楽しんではいけません!」ということではありません。
- 鉢植えやプランターを外壁や地面に直接つけない
- 枕木ではなく、石やレンガを使う
- 木製のものは防蟻対策されたものを使う など
ちょっとした工夫でシロアリを遠ざけることができます。
⑧家の敷地内に木材がある
廃材はもちろん、玄関周り(門やエントランス)に使われている木材など、どんな「木」もシロアリの通り道になります。
特に家までの道のりに途絶えることなく木材がある場合は注意が必要です。シロアリが苦手な太陽の光を避けながら家までたどり着く“道筋”になってしまいます。
⑨水分が多い土地に家が建っている
近くに河川や池がある、豊富な井戸水が湧き出ている等の土地は湿度が高く、シロアリが好む環境です。
⑩家周りでよく水を使う
「玄関タイルを頻繁に水洗いする」「庭木に必要以上に水を撒く」等、家周りで水を使いすぎると、シロアリの好む湿気の多い環境を作ってしまいます。
⑪長い間人が住んでいない
空き家になっていたり、長い間人が住んでいない家は、シロアリが侵入しやすい傾向にあります。空き家を相続した時などは注意が必要です。
当てはまることが多い場合、プロの「シロアリ点検」を受けましょう
上記、11の傾向+以前ご紹介した「シロアリと中古住宅。シロアリ被害に合わないためのチェックポイント」に当てはまることが多い場合、すでにシロアリに侵されている可能性があります。
特に、今まで一度も「シロアリ点検・予防工事・駆除」を行っていない場合は、注意が必要です。できるだけ早くシロアリ点検を受け、家の状況を把握しましょう。
「シロアリ予防工事」と「シロアリ点検」。シロアリ業者の選び方
カワノもシロアリに関するご相談をお受けしています。
提携している今村化学工業白蟻研究所へ橋渡しをすることもできますので、ご不安を感じたらお気軽にお問い合わせ下さい。
シロアリに侵された家、その後のデメリット
シロアリによって資産価値が損なわれた家(=瑕疵がある家)にどのようなデメリットが発生するか見ていきましょう。シロアリに侵されると、以下のように、将来的にどんな選択をしても非常に不利になってしまいます。
1.住み続ける場合
- シロアリに侵された家は耐震性能が大幅に低下します。近年頻発している地震で、大きな被害を受ける可能性が出てきます。
- 家のさまざまな箇所に不具合が生じ、安全で快適な生活が脅かされます。
2.売却する場合
- 売価が安くなります。
- シロアリ駆除を行う場合、高額な費用が必要になります。
3.貸す場合
- 賃料は安くなります。
- シロアリ駆除を行う場合、高額な費用が必要になります。
- 国が実施している「マイホーム借上げ制度」など、有益な制度が使えなくなります。
4.リフォームや耐震改修する場合
- シロアリを駆除しない限り、補助金が使えなくなります。
まとめ
今回ご紹介した11の傾向には、“日頃のちょっとした努力”で対策・改善できることがたくさんあります。
その“ちょっとした努力”の一つが掃除・整理整頓です。
「なぜ掃除や整理整頓が大事なの??」と不思議に思うかもしれませんが、こまめに掃除・整理整頓をすることで、家や家周りの異変に気づきやすくなります。
また、日頃から「シロアリがいるかも」と意識して行動することも大切です。
- 家の周りに不要な木材(シロアリのエサ)があれば片付ける
- 掃除のついでに蟻道や蟻土がないかチェックする
- 雨上がりに雨漏り跡を探す など
ほんの少し意識するだけでやるべきことが分かるはずです。一つ一つは簡単な作業ですから、習慣になれば面倒に感じることもありません。
一方、改善するのが難しい周辺環境や家の造りに関することは、新たに住宅の購入を考える際に役立ちます。
特に中古住宅はすでにシロアリに侵されている可能性があります。築年数や見た目(デザイン)だけに左右されるのではなく、今回の11の傾向と、以前ご紹介した「シロアリと中古住宅。シロアリ被害に合わないためのチェックポイント」をチェックして総合的に判断するようにしましょう。