耐震改修事例①「耐震改修住宅」と「無改修住宅」
この事例は、別府市鉄輪(かんなわ)地区に住む、共に80代でご近所付き合いのあるご夫婦2組の自宅についてです。
平成28年(2016年)に発生した熊本地震により、別府市全域で震度5強、一部では震度6弱を観測しました。
築60年の木造平屋住宅に住むA様は、熊本地震の前年度に補助金を受けて耐震改修工事を済ませていた為、棟瓦が数カ所ずれる程度の被害で済みました。
開放的で竹小舞土壁(竹を組んで藁すさを練りこんだ土を塗る)作りの住宅の為、内部だけの補強では震度6強から7の揺れには耐えられません。
そこで、改修前後の写真にあるように南東ニ面の窓の一部を耐震壁を作ることで解消した事例です。
BEFORE
AFTER
A様宅より15年以上後に建築されたB様宅の被害を見て、A様ご夫婦は「耐震改修をしていて良かった」としみじみ語っていました。
築40年の木造2階建てに住むB様は、90才に近い年齢ということもあり耐震に関心もなく、必要性を感じていませんでした。地震の被害は半壊に近く、住み続けるには危険な状態でした。
同じ市内に住む娘は、高額になる補修工事はせずに高齢者施設に両親で入るように勧めましたが、ご夫婦共にこの家に住み続けることに固執し、安全性が確保できる最低限の補強補修工事をすることになりました。
工事を始めると、予定していなかったシステムキッチン、ユニットバスなどの入れ替え工事から改装まで、追加工事の依頼を受けました。
B様はA様との話の中で、「耐震改修をしていればここまでの費用をかけずに済んだ」と悔やんでいたようです。
自宅にずっと住み続けたいと考える高齢者が大半ですが、その住宅の耐震性を向上しようと考える高齢者は少数派です。
A様宅は倒壊の可能性が非常に高い住宅でしたが、耐震改修により軽微な補修で済み、何よりも日々の生活に安心感があることに満足されています。
お知らせ
一般社団法人高齢者住宅財団が発行する「財団ニュース」に寄稿させていただきました。
http://www.koujuuzai.or.jp/publications/foundation_news/
特集 安心できる住まいのリフォーム
『耐震改修がもたらす有効性とその実例紹介』
~安心安全だけではない、精度の利活用による様々なメリットや効果について~
※以下よりダウンロードしてご覧いただけます。