耐震改修事例④「外付けホールダウン金物」の取り付け
トラックの通行で日常的に揺れていた住宅に、「外付けホールダウン金物」を取り付けて揺れが軽減出来た事例です。
耐震に取り組む中で良く依頼されることの一つに、「最低限の耐震補強で良いからしたい」というのがあります。この時にお勧めするのが「外付けホールダウン金物」です。
阪神大震災の甚大な住宅被害があった中でも、間口が狭い木造3階建て住宅の被害は軽微な範囲にとどまっています。これは、木造3階建て住宅に構造計算が義務付けられており、特に2階3階の床が剛床仕様で、必要な柱(特に角柱)にホールダウン金物(内付け)が取り付けられていたことが、軽微な被害で済んだ要因だと考えています。
2000年の建築基準法の改正により、それまで最低基準だったものが、阪神大震災を契機に安全基準に変わりました。主だった改正は下記の4点です。
- 地耐力に応じた基礎構造が規定された。
- 筋交いのサイズに対応した金物が指定された。
- 壁の配置バランスが規定された。
- 強い壁には強い金物の使用が規定された。*
*「4」がホールダウン金物に当たります。
20年近く前に、外付けホールダウン金物を取り付けした当時築7〜8年の住宅は、前面の道路にトラックが通ると自宅が揺れ、冬場は山からの吹き下ろしで揺れていたようです。
耐震診断の結果、耐震に有効な壁は十分にあることが分かり、外付けホールダウン金物の取り付けを提案し施工に至りました。
昨年施工した築30年の総2階の木造店舗併用住宅(1階店舗、2階住居)は、トラック等の往来が頻繁な幹線道路に面しており、新築以来揺れの感じない日は無かったようです。
耐震診断をした上で行ったいくつかのご提案の中で、外付けホールダウン金物を家の角部4箇所、1階の店舗(うどん店)に壁補強工事2箇所のプランを選ばれ、施工に至りました。
後日、施工完了の夜から揺れなくなったとの報告がありました。
耐震改修の基本は新耐震基準を満たすことですが、依頼者の価値観や予算等総合的に判断した上で、現実的な対応も必要と感じています。
お知らせ
一般社団法人高齢者住宅財団が発行する「財団ニュース」に寄稿させていただきました。
http://www.koujuuzai.or.jp/publications/foundation_news/
特集 安心できる住まいのリフォーム
『耐震改修がもたらす有効性とその実例紹介』
~安心安全だけではない、精度の利活用による様々なメリットや効果について~
※以下よりダウンロードしてご覧いただけます。