実家のリノベーション
実家のリノベーションには、住み慣れた地域で暮らせること、長い間空き家だった実家を再び活用できること、予算を抑えてリノベーションが可能であることなど、さまざまなメリットがあります。
「長い間住んでいた家を残したい」
「思い出が詰まった家にまた住みたい」
いくつになっても、実家はたくさんの思い出が残る特別な場所。
お客様の中にも、こんな想いを抱えている方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
実家のリノベーションの形もさまざまです。
- 相続した実家をリノベーションして自分たちで住む
- 贈与された実家をリノベーションして自分たちで住む
- 実家を二世帯住宅にリノベーションして両親と一緒に住む
ここでは、実家をリノベーションするメリットから、事前の確認事項、必要な手続き、補助金、相談〜施工の流れまで詳しくご説明します。
実家をリノベーションする
7つのメリット
実家をリノベーションするメリットを具体的に見ていきましょう。
01 自分たちのライフスタイルを実現しやすい
現在、家族がゆとりを持って暮らすことができる広さの土地を探すのは簡単ではありません。見つかったとしても希望の地域ではなかったり、予算オーバーだったり。
その点、昔の家は新築の家に比べて広さに余裕があるケースが多く、ゆったりと暮らせるように活用できます。
また、昔の家は1階を広めにとっていることが多く、近年ご要望が増えている「1階に生活に必要な設備(ファミリークローゼット、ランドリールーム、寝室など)をまとめた使い勝手の良い間取り」を実現しやすいのも特徴です。
02 住み慣れた地域で暮らせます
小さい頃から慣れ親しんだ地域で生活することができます。特に子育てをするうえでは、大きな安心感があるのではないでしょうか。
03 予算を抑えることができます
実家のリノベーションなら、新たに土地を探す必要がありません。そのためコストを抑えることができます。
04 補助金や減税制度が利用できます
実家のリノベーションを行うと、減税制度や補助金を利用できます。これらをうまく活用することで、予算を抑えることができます。
05 相続問題を整理する良い機会になります
家や土地の相続問題は、いずれ解決しなければならないことです。しかし、「まだ両親が元気だから」「実家が空き家になっているけど、兄弟と話し合う暇がなくて」とついつい先延ばしにしている方も多いのではないでしょうか?
相続問題は複雑です。先延ばしにした結果、いざというとき「相続について何も話し合ってなかった」と頭を抱えてしまうケースも少なくありません。
実家のリノベーションは、相続についての話し合いをする良いきっかけとなります。
06 実家の状態を確認できます
一見きれいに見える家でも、雨漏りやシロアリなど、見えないところに問題を抱えているケースがあります。また、耐震性能が低い家は、地震などの災害に弱いです。
リノベーションをすることで、実家の現状を詳しく確認することができます。
実家をリノベーションする前に
確認すること
実家のリノベーションを決断したら、間取りや予算などの具体的な話を進める前に、確認すべきことがあります。
それが、「相続」「贈与」「税金」「家の状態」です。
「相続」「贈与」「税金」は、知らないままリノベーションを進めると、予期せぬトラブルの原因になる可能性があります。
「家の状態」の確認も欠かせません。現在の実家の耐震性能や状態を把握しなければ、正確なリノベーション計画(予算や施工内容など)を立てることが難しくなるからです。
Step1. 家の相続(または贈与)について確認する
リノベーションする家を誰が相続する(または贈与を受ける)のか話し合いましょう
親御さんが亡くなってから受け継ぐ場合は「相続」、親御さんから譲り受ける場合は「贈与」となります。
リノベーションする家の所有者(お父様、お母様、お祖父様など)や、相続や贈与に関わる兄弟姉妹がいる場合は、話し合いの席を設けることが大切です。
例えば、「亡くなった祖父が所有している家を相続したいが、法定相続人の一人である祖母が認知症で施設に入っている」などの複雑なケースでは、専門家へ相談することをおすすめします。
Step2. 相続税、贈与税の課税金額を計算する
相続税とは
相続税は、相続や遺贈で取得した財産の価額が基礎控除額を超える場合に課税される税金です。相続税の申告と納税は、被相続人(死亡した人)の死亡を知った日から10か月以内に行う必要があります。
贈与税とは
贈与税とは、家を名義変更(贈与)する場合、贈与された側に贈与税の支払い義務が生じます。贈与税の課税方法には、「①暦年課税」と「②相続時精算課税(実の親子間のみ)」の2通りがあり、それぞれ控除があるので、チェックしておきましょう。
①暦年課税
贈与税は、1年間(1月1日から12月31日)に受けた贈与財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた額に対して課税されます。年間の贈与額が110万円以下の場合、贈与税はかからず、申告も不要です。
②相続時精算課税(実の親子間のみ)
相続時精算課税は、実の親子間で選択可能で、1年間(1月1日から12月31日)に受けた贈与財産の合計額から2,500万円の特別控除額を差し引いた残額に対して課税されます。特別控除額は期限内申告書を提出する場合のみ適用され、前年以前に適用された金額があれば、特別控除限度額が減少します。
Step3. 住宅ローン減税(控除)が受けられるか確認する
住宅ローン控除(減税)は、正式には「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」といい、ローン残高に応じて、所得税の控除が受けられる制度です。
新築だけでなく、中古住宅、増改築(リノベーション)も対象で、10年間、0.7%控除(令和5年9月現在)されます。
リノベーションには、「実家にローンが残っているか」「どのようなローンの組み方をするか」など、さまざまな要素が絡んできますので、新たにローンを組むからといって、必ずしも控除が使えるとは限りません。場合によっては「住宅ローン控除が受けられない可能性もある」ということは知っておきましょう。
※相続税、贈与税、税金の控除は各ご家庭によってさまざまなケースが考えられます。不安な場合は信頼できる業者や専門家に相談することから始めましょう。Step4. 住宅診断で、家の状態(構造・内側)を確認する
住宅のリノベーションを行う際、何よりも重視すべきは「安全性」です。この先、何十年も住む家ですから、「長く、安心・安全に暮らせる家」を目指すことが重要です。
そのために不可欠なのが、住宅診断です。
築年数が経過している場合、外観がきれいであっても内部にはさまざまな問題(シロアリや雨漏りなど)があることが多く、耐震性能も低い場合が多いです。
特に、2000年5月以前に建てられた住宅は注意が必要です。
新耐震基準であっても、1981年から2000年に建てられた住宅については、厳密には現行の基準を満たしていません。2000年以前の建物については、一度耐震診断を受けられることをおすすめします。耐震診断を無償または低額で受けられる制度が多くの自治体で設けられています。
重要なのは、具体的なリノベーション計画を立てる前に「住宅診断」を行うことです。
「住宅診断」を行わないままリノベーションを進めてしまうと、以下のようなデメリットが生じる可能性があります。
1.予定していたリノベーション計画通りにならない
思い通りのデザインや内装にできない可能性があります。2.安全で快適な生活が脅かされる
ご実家の状態によっては、安全で快適な生活が望めない場合もあります。 住宅診断後に建て替えを提案することもあります。3.予定よりリノベーション費用がアップする
修繕費用が必要になるなど、リノベーション費用のアップが予想されます。4.補助金や税優遇が受けられない可能性がある
リノベーションではさまざまな補助金や税優遇を受けることができますが、その前提条件として住宅診断が必要な場合があります。
住宅診断の種類
1.耐震診断
耐震診断は、構造に特化した精密検査です。耐震技術認定者の資格を持つ耐震診断のプロが専門器具を使い、外周りから壁・床・基礎などあらゆる箇所を検査し、耐震性能を評価します。2.インスペクション
インスペクションとは、簡単にいうと住宅の健康診断です。住宅に精通した診断士が、国土交通省の定める基準に従い、基礎から外壁、天井まで家全体を細かく検査し、住宅の安全性や劣化状況を確認します。
耐震診断とインスペクションは、業者によって考え方が異なります。業者を選ぶ際はホームページなどで実績や想いを確認するようにしましょう。
実家のリノベーションに関する
補助金
実家のリノベーションではさまざまな補助金制度を活用することができます。
補助金を利用する際の注意点
①全ての業者が提案するわけではありません
補助金申請には手間がかかります。そのため全ての業者が提案するわけではありません。補助金を利用したい場合は、自身で基本的な概要を調べたり、補助金に精通した業者を選ぶことが必要です。
②補助金の内容は毎年変わります
前年度に実施された補助金制度が現年度も利用できるとは限りません。リノベーションの計画段階でどのような補助金があるのかを確認しておきましょう。
③補助金の締め切りはバラバラです
補助金はいつでも利用できるわけではありません。内容は毎年変わりますし、申請期限も異なります。申請には時間がかかること、予算枠が埋まると終了する可能性があることを頭に入れ、事前に余裕を持って計画を立てることが必要です。
④あくまで補助金は選択肢の一つに過ぎない
リノベーションを行う際、“補助金を利用することが目的”にならないように心掛けましょう。ご希望や家の状態によっては、必ずしも補助金を利用することが最善ではない場合もあります。あくまで補助金は選択肢の一つに過ぎないと考えましょう。
カワノではお客様のご希望、リノベーション内容に合わせた適切な補助金の提案から申請のお手伝いまでトータルで行っています。
より良い業者を
選ぶためのポイント
リフォーム・不動産の分野は、まだまだ業者の質の向上が必要な業界です。契約を急ぐあまり、適切でない対応をしてしまう業者もいるということを心に留めておく必要があります。
より良い業者を選ぶために、以下の5つのポイントを確認することをおすすめします。
01 事前に「相続」「贈与」「税金」「補助金」についてアドバイスをくれる
実家のリノベーションを進める際には、「相続」「贈与」「税金」「補助金」といった多くの要素が関わってきます。そのため、リノベーション計画を進める前に、お客様としっかりと話し合い、現在の状況(家族構成や実家の所有者など)を確認して、どの問題がどのように関わるかを整理する必要があります。
それぞれの解決には時間と手間がかかるため、これらの問題に全く触れない業者には注意が必要です。
02 事前に「住宅診断」を提案する
リノベーションは既存住宅(ご実家)の再生です。家の現状(構造・内側)を把握せずに、正確なリノベーションプランを立てることはできません。
築年数が経過した家は、見えない部分にシロアリや雨漏りなどの欠陥を抱えている場合が多く、適切な「住宅診断」を行わずにリノベーションを進めてしまうと、施工途中や施工後にトラブルに見舞われる可能性が高くなります。
「住宅診断」はリノベーションの第一歩です。「住宅診断」を提案する業者を選びましょう。
03 調べる努力、確認する手間を惜しまない
実家のリノベーションには多くの工程があり、それぞれの工程で疑問や不安に思うことが出てくるはずです。相続、贈与、税金、補助金、地域環境、建材など、これらの問題一つひとつに対して、調べる努力や確認する手間を惜しまない業者を選ぶようにしましょう。
範囲外の問題であっても、「私たちはわかりません」といった回答や「“多分”大丈夫だと思います」という曖昧な回答ではなく、「関連機関に確認を取ります」や「取り寄せ可能か確認します」といった具体的な対応を提供する業者が望ましいです。
04 複数の選択肢を提示してくれる
実家のリノベーションには多くの選択肢があります。それぞれの選択肢にはメリットとデメリットがあり、業者の提案がお客様にとって最善とは限りません。そのため、お客様の状況から考えられる全ての選択肢を提示し、最適な解決策を一緒に考えてくれる業者が好ましいです。
例えば、「平屋の実家を2階建てにしたい」というご要望がある場合、家の調査を行った結果「2階を建設することで1階の構造が耐えられなくなり、耐震性能が大幅に低下する」という事態が発生することもあります。
家の現状を踏まえ、可能な選択肢を全て提示し、安全性とお客様の要望をバランス良く考慮した解決策を共に探求してくれる業者を選ぶよう心掛けましょう。
05 決断を待ってくれる
一部の業者はお客様の決断を急ぐことがあります。「今だけこの価格です」「今日契約しないと施工が大幅に遅れます」といった言葉に惑わされず、十分な時間をかけて検討するようにしましょう。
リノベーションの予算は決して安くはありません。家族との十分な相談時間を確保することが重要です。複数の選択肢を提示した後に、検討時間を提供してくれる業者は信頼できるパートナーと言えます。
リノベーションは数多くのメリットをもたらす選択ですが、一方で既存の建物を制約の中で再生することは非常に複雑な作業でもあります。
特に実家のリノベーションは相続、贈与、税金、補助金などが複雑に関係しているため、深い知識と高い技術が不可欠です。
「信頼できる業者を選ぶ」―これがリノベーション成功の第一歩と言えます。
実家のリノベーションの流れ
実家のリノベーションをご依頼いただいた場合、カワノでは次のような工程で進めます。
1リノベーション相談
まずはどういった経緯でご実家をリノベーションしたいのか、詳しくお聞かせください。 併せて「相続」「贈与」それに伴う「税金」に関するご相談も承ります。必要に応じて、専門家を紹介することもできます。
2ご希望の聞き取り
「相続」「贈与」等が問題ないようでしたら、具体的なリノベーションの話に入ります。ご希望、ご予算だけでなく、家族構成、現在のラフスタイル、どんな住まい方をしたいか、将来の見通し(予測できる生活の変化)などについて詳しくお聞かせください。
「こんなことが必要なの?」と思われることまでお聞きするかもしれません。しかし、私たちはお客様の想いに少しでも歩み寄ることが、より良い住まいにするための第一歩であると考えています。
3住宅診断(インスペクション・耐震診断)
具体的なリノベーションプランを立てるためには、家の現状を把握する必要があります。そのため、ご実家に伺い、住宅診断を行います。
〈耐震診断〉
家の耐震性能を評価します。一般的に1日がかりの時間を要する耐震診断ですが、カワノでは設計士や耐震診断士など、耐震の知識が豊富なスタッフが5人前後でお伺いしますので、約1時間程度で終了します。
〈インスペクション〉
住宅の劣化・欠陥の診断を行います。住宅診断士など3人で約1時間程度。耐震診断と同時に行うこともあります。
4診断結果の報告
住宅診断で判明した
- ・ご実家の現状(耐震性能や瑕疵など)
- ・改善しなければならない点
- ・改善のために必要となる施工(耐震改修、瑕疵の修繕など)についてご説明します。
5プランのご提案(3Dプラン)
1〜4を踏まえ、リノベーションプランをイメージが湧きやすい3Dシュミレーションにてご提案します。カワノに在籍するインテリアコーディネーターと建築士が、インテリアを含めたプランをご提案することもできます。 プランを見た上でご要望があれば遠慮なくお伝えください。プラン提案はお客様にとっても、私たちにとっても、楽しい時間です。一緒に理想の住まいを考えましょう。
6見積もり提出
お客様の納得のいくプランが完成したら、正式なお見積もりをお出しします。ここで最後の調整、擦り合わせを行います。
7契約
お見積もりが決定したら、契約に進みます。申し込み時期を見ながら、補助金申請のサポートも行います。
8プラン・お見積もりの最終確認
好みの建材や壁紙など、細かな打ち合わせを行い、最終的なプラン・お見積もりの調整を行います。
9施工
工期はリノベーション内容によって異なりますが、目安として以下となります。
・家全体をリノベーションする場合:3〜4ヶ月
・家の一部をリノベーションする場合:1〜2ヶ月(1階の建物内部のみの場合)
10お引渡し
11アフターサービス
お引き渡し後も、お客様の暮らしにしっかりと寄り添います。不具合が発生した場合や、生活習慣の変化により新たな修繕が必要と感じた場合は、遠慮なくご連絡ください。
リノベーションの施工例
私たちカワノの想い
カワノは「親切心を持って仕事に取り組む」という想いから、「親切に」を経営理念として掲げています。
ここでいう親切とは、お客様に多くの選択肢を持ってもらえるように取り組むことです。
リノベーションには、間取りの考え方、ローンの種類、補助金の活用、将来の住まい方の変化による相続・贈与など、皆さんが想像する以上に多くの選択肢があります。
満足のいくリノベーションをするには、ご実家・ご家族の状況と選択肢を照らし合わせ、“なにが最善なのか”を考える作業が不可欠です。
私たちの役目は、お客様とじっくり話し合い、多くの選択肢の中から、最善を見つけるお手伝いをすることであると考えています。
リフォーム・不動産は、まだまだ業者の質の向上が必要な業界です。契約を急ぐあまりに必要な選択肢(知識や情報)が提示されないケースもありますので、注意が必要です。
業者との話し合いの中でも不安や迷いが生じた際には、一度立ち止まってじっくり考える時間を設けることも重要です。
カワノはそんな時に、気軽になんでも相談できる存在でありたいと願っています。